こんにちは、あんです。
今日は、時折物議を醸すこともある「ピンク翡翠(ひすい)」と呼ばれている石について、少し紐解いていこうかと思います。
普通に考えて「ピンクの翡翠なんだよね?」と考える方が多いかとは思いますが、実はこれ「翡翠ではない」ことが多く、立ち位置が非常に微妙です。
ピンク翡翠の正体について、色から性質、偽物まで、解読していきましょう。
- 翡翠には紫はあるがピンクはない
- ピンク翡翠、こんな色のは完全に偽物(染色)
- 天然のピンク翡翠(原石)の色はこちら
- ピンク翡翠の正式名称(正体)について(ほぼ翡翠ではありません)
- ピンク翡翠の意味・効果は?
- ピンク翡翠の石言葉は?
- めっちゃごく一部!本当に翡翠のピンク翡翠がある…特徴は?
翡翠には紫はあるがピンクはない
はい、いきなり問題発言(笑)
翡翠のカラーバリエーションは、大きく分けて
- 緑(いわゆる、普通のやつ)
- 黒
- 黄色
- 白
- 紫(ラベンダー。濃い色ではない)
こんなところでしょうか。
本来、翡翠という鉱物(実は、鉱物ではなくて岩石)に、
ピンクというカラバリはないのです。
では、「ピンク翡翠」として販売されるものは一体、何なのでしょうか?
ピンク翡翠、こんな色のは完全に偽物(染色)
これはらピンク翡翠のお話をするにあたって、「これのことではないよ」ということを示すために、ありがちなピンク翡翠(染色)の色をご紹介しておきたいと思います。
翡翠ではないわけだからもう偽物と言っていいと思うんですよね。
よくある「ピンク翡翠(偽)」の色は、↓こちら。
このような鮮やかな色のものが、よく通販サイトで売られています。
良心的なものについては「染色が施されています」と書かれていますが、元の石が何だったかは明記がないことがほとんどです。
半透明タイプの染色ピンク翡翠もある
上の画像は、半透明ではないタイプですが、ピンクカルセドニーに近い色で、半透明タイプの染色ピンク翡翠もあります。
私が通販サイトで見かけたものでは、「染色してあるが、素材は翡翠。中国産」と書かれていました。十中八九これは怪しく、価格帯からみても素材が翡翠である可能性は少ないと思います。
翡翠は技術的に色を入れることのできる石ですが、低価格の石ではありません。
「花翡翠(キャンディジェイド)」もほぼ同様の染色石
上の染色ピンク翡翠と似たようなもので、花翡翠、と銘打った天然石が販売されています。
これは、別名をキャンディジェイド、とも呼ばれています。
花翡翠は、色が染めピンク翡翠によく似た鮮やかなピンクと、グリーン、もしくはスカイブルーなど、2色で染められた特徴的な色をしています。
地色は白で、天然石を染色していると書かれていることが多く見受けられます。
ここで言う「天然石」は、白翡翠等の翡翠ではなく、「クォーツァイト」が大半のようです。
染色ピンク翡翠の元の石はほぼクォーツァイトの可能性が高い
花翡翠のピンクの部分と、染色したピンク翡翠については、色あいが非常に似通っています。
またクォーツァイトというのは、素材の特性として、非常に染色しやすく、特にグリーンに染めると翡翠と似た色が出ることで知られています。
つまり、素材の明記がない場合、染色ピンク翡翠(半透明のものも含めて)も大半は、クォーツァイトである可能性が高いでしょう。
天然のピンク翡翠(原石)の色はこちら
既にこのブログのトップ画像にも入っていましたが、天然のピンク翡翠は上の写真のような表面をしています。
鮮やかなピンクではないことから、染色ピンク翡翠との違いをすぐにおわかりいただけるかと思います。ちなみにもう少し濃いめのピンク色が出ることもあるようです。
非常に貴重なものですが、一部はビーズ加工されていることもあるようです。
天然ピンク翡翠に似せた染色ピンク翡翠も売られている
染色のピンク翡翠のほとんどは、先述のような鮮やかなピンク色をしていますが、中には天然のピンク翡翠の色を理解した上で、このような淡い、優しいピンク色、桜色に染めてくる染色ピンク翡翠もあります。
楽天などでは「染め」と明記してあり、染色であることは比較的わかりやすいですが、他にも特徴として、灰色の部分がない、ということが挙げられます。
ピンク翡翠の正式名称(正体)について(ほぼ翡翠ではありません)
ピンク翡翠のビジュアルがハッキリしてきたので、ここからは「ピンク翡翠」と呼びましょうね。
……とか言っておいて何なのですが、最初からチラチラ言っているとおり、
ピンク翡翠は、鉱物的に見ると翡翠ではないのです。
※とはいえ、実は、糸魚川産の翡翠で「ピンク翡翠」と呼ばれている「本当の天然翡翠」が、本当に稀少ですが存在しています。これについては記事の最後に後述します
翡翠は鉱物ですらない
翡翠は「鉱物」ではなく「岩石」に分類される物質です。
えっ、鉱物と岩石って違うの……? となるかもしれませんね。
簡単に言うと
- 鉱物→無機質で、決まった化学組成があり、結晶構造も一定。
- 岩石→鉱物と有機物の集合体。
っていうことになるのだそうです。
……ヒーラー石屋には難しいにゃんฅ^._.^ฅ
要するに、岩石っていうのは、鉱物も入っているけれども、いろんなものの集合体って事なんですね。
そして、翡翠とは岩石である、しかしピンク翡翠は岩石ではない、ということになります。
ピンク翡翠は鉱物だがその内実は「クリノゾイサイト」OR「チューライト」
一方のピンク翡翠ですが、その正体は「翡翠ではないが、以下のどれかです」といった扱いになってしまいます。
ピンククリノゾイサイト(斜灰簾石)
糸魚川から産出したピンク翡翠を鑑別すると、「ピンククリノゾイサイト」という鉱物だと判別された、という件が実際にあったようです。
▼鑑別をされた方がブログに詳しく書いておられます▼
クリノゾイサイトの化学組成は「Ca3Al2(Si2O7)(SiO4)O(OH)」が正式ですが、鉄分が多く含まれて「Ca2(Ca, Fe3+)Al2(Si2O7)(SiO4)O(OH)」となっている場合が多いとか。
(*゚ロ゚)
チューライト(桃簾石)
ピンク翡翠はずっと、チューライトであると考えられてきました。
チューライトはゾイサイトの仲間で、化学組成は「Ca2Al3(SiO4)(Si2O7)O(OH)」……と、クリノゾイサイトとなんだかよく似ています……。
しかし、とはいえ、鑑別の結果がチューライトではなかった、と言われればそれまでです。
パワーストーンとして扱われるチューライトのビジュアルは、こんな感じです。
やはり、ピンク翡翠と比べると色も濃いので、「チューライトだよ!」と言われると疑問な部分も……
しかし、ピンク翡翠は翡翠ではなく桃簾石(とうれんせき)である、と言われていることが多いのは確かのようです。
クリノゾイサイトとチューライトは同質異像の関係にある物質
ピンク翡翠、結局どっちなの? と思ってしまうことでしょうけれども、クリノゾイサイトとチューライトという2つの鉱物は、同質異像の物質です。
同質異像というのは、「素材は同じだけど、結晶の構造だけが違うモノ」のこと。
……同じレゴのセットを材料にして、違うもの作っちゃった! みたいな感じなのかな……。
つまりこれらは、あまり大きく違いがあるとはなかなか言えないようです。
鑑別次第でどちらもあり得るのではないでしょうか……。
ピンク翡翠の意味・効果は?
およそ「ピンク翡翠」と呼ばれる石は、効果として「対人関係を良くする」と言われています。
人の優しさを引き出す、包み込むような愛情のオーラは、ローズクォーツにも近いものを感じますね。
ピンク翡翠の石言葉は?
ピンク翡翠は先述のとおり、ほとんどが翡翠ではありませんので、翡翠の石言葉を適用するのは不適切かと思います。
一方、ピンク翡翠の正体であると言われる「チューライト」の石言葉には
- 愛
- 慈しみ
- 知性
の、3つがあります。
めっちゃごく一部!本当に翡翠のピンク翡翠がある…特徴は?
最後の最後に、例外的に、本当に稀少ですが、「翡翠であるところのピンク翡翠」についてご紹介しておきます。
翡翠のカラーバリエーションにピンクはない、と冒頭で書いておきましたが、ごく稀に「ピンク翡翠」として売られている翡翠が存在しています。
これは、糸魚川などで産出し、鑑別の結果「天然含ヒスイ輝岩石」つまり「翡翠である」と認められたものです。
非常に貴重なため、購入を考えている場合は、宝石鑑定書が付いていることが想定されます。
この「ほんとに翡翠のピンク翡翠」の特徴としては、「色がかなり紫に近い」ということが挙げられます。
画像だけ拝見しましたが、ラベンダー翡翠と呼ばれる薄紫色の翡翠に色味はかなり近いです。つまり青みが強いと言いましょうか。
ピンクにも見えますが、紫と言えなくもない……そんな色をしています。
っていうか多分ちょっとピンクみの強いラベンダー
クリノゾイサイト、チューライトの場合、「紫……とは言えないかな」という発色になることが、ほとんどかと思います。
ご参考までに。
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