こんにちは。
横浜タロット占い師、あん茉莉安です。
怒ると叱るとは違う、という説が根強くあります。
子どもを何らかの理由で指導するとき、「怒ってはいけないので、叱るべき」と仰る方も多いでしょう。
しかし、それは本当でしょうか?
「これは叱っているから、いいのだ」という言い訳をしていませんか?
怒ることと、叱ることとは、全く同じものです。
叱ってるから良いとか、怒っているからダメとか、そういう種類のものではないと、私は考えます。
どのように怒るのか、どのように叱るのかこそが大切なこと。
今日は、子どもの(あるいは部下の)正しい怒り方、正しい叱り方について、考えてみたいと思います。
怒る、叱るの可否を決めるのは受け取り手
まず大前提として、理解しておかなくてはならないことがあります。
それは……
叱られているにしろ、怒られているにしろ(面倒なので、以下「叱る」に統一します)、その可否を決めるのは叱り手ではなく、叱られているほうなのです。
どのような叱り方が良いというようなことを、これからお話しますが、注目したいのは「どのように叱っているか」というよりも、「叱られたほうが、どのように感じているか」ということです。
この構図は、イジメの構図によく似ています。イジメは、イジメたほうはちょっとじゃれかかっただけとか、きつい冗談を言っただけ、といった認識をしていることが、よくあります。
しかし、イジメられたほうが嫌な気持ちになったり、イジメられたと感じたようであれば、それはオフザケではなくイジメです。
叱ることについても同様で、叱ったほうが「うまく叱った」と自己評価していても、叱られたほうが「バカにされた。傷つけられた」というような認識になってしまえば、それは上手な叱り方ではありません。
それでは叱ったことが効果を発揮せず、全く別の、望ましくない効果を生じることも多いので、非常に注意しなければならない点と言えます。
叱ることの最終目的を忘れない
私も、時と場合によってうっかり頭に血が上り、自分の子どもを叱るときにこの鉄則を忘れそうになってしまうこともありますが……
(なので、うまくそれができない! というお母様たちの気持ちはほんとによくわかります)
子どもを叱るとき、叱ることの最終目的を忘れてはいけないんですね。
最終目的というのは、多くの場合、叱られるネタになったことを二度とやらないとか、もうやらないようにするとか、そういったことです。
特に叱る側の頭に血が上っていると、うっかりこの目的を忘れてしまうことがある。
そして、うっかり、怒鳴りつけてスカっとすること自体が叱る目的になってしまうことがあるんです。
確かに、ストレスが溜まっていると、ある程度大きな声を出したり、罵声を浴びせることで気持ちがスッキリする部分は否定できないかもしれません。
しかしこの方法に走ってしまうと、お叱りの最終目的……つまり、「もうしません」を達成できないことが良くあります。
幼児期なら、どうして怒鳴られているかピンとこずに、なんか怒ってるしとりあえず謝っとこうといったような対応をしがちです。
何を言われているか理解していないのですから、例え謝っても、次に同じことをまた繰り返します。
もう少し大きくなると、怒鳴りつけられることによって、反感を抱くことが増えてきます。
言葉悪く言えば、何言ってんだよクソババアという反応になってしまうため、これまた最終目的は達成されないどころか、遠のいてしまうわけです。
怒鳴りつけてやりたい! という気持ちは親の側、叱る側にも生じるのは事実ですが、その誘惑に乗ってはいけません。(できるだけです(^_^;))
あくまでも、叱ることによって、最後は自分の目的を冷静に達成すべし。
怒鳴らない、命令しない
正しく叱る方法は色々とありますが、鉄則だけをお話したいと思います。
さきに触れた「怒鳴る」がNGであることはもちろん、「命令する」もNGです。
この2つはほとんど個人差なく、どの子ども、どの部下を叱るときも留意したいこと。
とりわけ「○○しなさい」という命令口調の叱り方には注意が必要です。
先日、テレビで衝撃的な(?)シーンを目にしました。
施設の認知症の方の病棟(?)で、職員が入所者に歯磨きをさせようとするのですが、「歯磨きだよ」という言い方にすら、認知症の方は拒否を示すのです。
「ちゃんと、歯磨きしてよ」これもダメ。
もちろん、そのような場ですから、「歯磨きしなさい」という言葉は使われていないわけなのですが、人は本能的に、自分の行動を強制しようとするものに対して、反感を抱くようにプログラムされているのだ……と思い知る現実でした。
そこへ、その道のプロの方がやってきて、ふたこと、みことかけると、おばあちゃんはあっさりと歯磨きへ。
プロの方は、何をしたのか?
共感を示し、その人を思いやる言葉をかけたのです。
介護のプロというよりも、心理のプロの方だったんですね(^_^)
人は、寄り添ってくれる人の言葉を素直に聞く生き物なんです。
心が素直に行動に出る認知症の方だからこそ、そして同様に子どもだからこそ、なおさらその傾向は顕著でしょう。
「片付けなさい!」「さっさとしなさい!」
この言葉がいかに効果を持たないか、実感している親御さんも多いことでしょう。
「たくさん勉強して疲れちゃったよね。よく頑張ったね! そろそろ、片付けようか」
「お片付け上手だよね。できるよね。お願いしてもいいかなあ」
そんな言葉で、すんなりと動く子どもたちの姿を私も目の当たりにしたことがあります。
怒鳴りつけて、命令口調で従わせても、この場合「お片付け」がイヤなものだ、やりたくないものだ、という心理的な印象を植え付けるだけです。
ちなみにこのような心証は、大人になってもなかなか変わらないので注意が必要ですよ! お片付けが苦手な大人には、子ども時代に片付けについて叱られたり、「どうせできない」「どうしてできないの!」などと言われて育った人も多いのです。
言い聞かせ、誘導することがベスト
怒鳴りと命令はNG、とお話しました。
ですから、叱り方としてベストな方法は、言い聞かせて誘導することです。
特に幼児が相手の場合、「どうして怒っているのか」「なにがマズかったのか」を言葉にして伝えてあげる工夫が必要です。何がいけなかったのか、怒鳴られるだけでは理解できず、同じことの繰り返しをするからです。
ある程度子どもが大きくなったら、叱り方も厳しくしてOKですが、やはり相手が大人でもなければ、「○○だから怒っているんだよ」と伝える工夫は必要でしょう。
最初のほうでお話したことを思い出して下さい。
大切なのは、叱られている受け取り手の感情です。
怒られて、ある程度愛情や、怒り手の表情から相手の感情を感じられる年齢の相手なら、怒り方は少しくらい厳しくても大丈夫です(それでも、命令と怒鳴りは逆効果にしかなりませんのでご注意を)。
相手が幼ければ幼いほど、その感情に配慮して優しく叱り、諭すことが大切です。
また、年齢がある程度大きいからといって、叱りつけるよりも「諭す」ほうがはるかに効果を発揮することもありますので、覚えておきましょう。
子どもや部下の粗相に、うっかり怒鳴りつけそうになってしまったとき、思い出してください。
なぜ、叱るのか? 最終目的は何なのか? そして、最終目的に至る最短の道は果たして「怒鳴ること」なのか……。
そうと考えても怒鳴ることをやめられない場合は、もしかしてあなた自身にセラピーが必要なケースもあります。
そのメカニズムやセラピーについては、また次回書いてみたいと思います。